■ 擬二次元多重バンド型モット転移系Ca2-xSrxRuO4

競合した磁気相関を持つ量子物質として、我々の開発したCa2-xSrxRuO4があります。 Ca2-xSrxRuO4は軌道の秩序により、様々な基底状態をとる2次元の多重バンド型モット転移系であり、 その理論モデルとして新しく“軌道依存型のモット転移”機構が提案されています。 特にモット転移近傍の重い電子状態(電子比熱係数〜250 mJ/mole-Ru K2)でのメタ磁性転移の研究から、 数テスラの磁場で100 %もの大きな正の磁気抵抗を示し強磁性に転移すること、 同時に金属では非常にまれな軌道の転移が、この磁気転移に伴っている可能性が明らかになってきています。 最近、そのメタ磁性転移点近傍での電子構造の変化を、電気抵抗・ホール係数の精密測定からプローブし、 興味深い量子伝導現象を見出しました[1]。 そのひとつが、角度依存型磁気抵抗効果(図2)です[1]。 重い電子状態のフェルミ面の形状を反映したc軸方向の磁気抵抗の面内方位依存性が、 低磁場の2回対称から擬4回対称へと変化していることが分かります。 さらに磁歪、中性子実験の総合的研究から、 この起源が一次元的バンド(dyz,zx)が支配的な反強磁性状態から 2次元的なバンド(dxy)による強磁性に、 数テスラの磁場によりスイッチングが起こったことによるものだと分ってきています[2]。 これは、まさに磁場による軌道・バンド構造変化を捉えたもので、この系における競合した磁気相関による量子効果といえます。

図1:モット転移系Ca2-xSrxRuO4の相図(左)と結晶構造。

図2: Ca1.8Sr0.2RuO4の0.6 Kでのc軸電気抵抗RZZの面内磁場の方向φ依存性。 メタ磁性転移磁場である約5 T(赤のライン)を境にして、低磁場の2回対称から高磁場の擬4回対称へと変化している。
[1] L. Balicas, S. Nakatsuji, D. Hall, T. Ohnishi, Z. Fisk, Y. Maeno, and D. J. Singh, Physical Review Letters 95, 196407 (2005).
[2] M. Kriener, P. Steffens, J. Baier, O. Schumann, T. Zabel, T. Lorenz, O. Friedt, R. Mueller, A. Gukasov, P. Radaelli, P. Reutler, A. Revcolevschi, S. Nakatsuji, Y. Maeno, and M. Braden, Physical Review Letters 95, 267403 (2005).

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