量子臨界点とは?

磁場や圧力といったコントロールパラメータを変化させることで、何らかの秩序状態への転移(2次転移)温度が絶対零度まで抑制された時、 その量子相転移が起きる相空間上の点を量子臨界点と呼びます。 量子臨界点が何故面白いかというと、その近傍で強い量子揺らぎによって非従来型の異方的超伝導、非フェルミ液体といった新奇な量子状態が現れる為です。 また、その起源の解明は物性の謎を解く挑戦的なテーマであり、その特異性は宇宙のブラックホールに対応するという理論的提案もあります。 f電子系(重い電子系)はf電子の局在性が高い為、エネルギースケールが小さく、比較的小さな磁場、圧力等によって、 その基底状態を劇的に変えることが可能です。そのため、f電子系は量子臨界現象を研究する上で格好の舞台となります。


図: 量子臨界点の概念図の一例。

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ドニアックの相図

重い電子系における量子臨界現象は多くの場合、ドニアック(Doniach)の相図によって理解されてきました。 ここでは、f電子のモーメントを伝導電子が遮蔽する近藤効果と、伝導電子を介してf電子間に働くRKKY相互作用、これら二つが競合することで、磁気秩序と重い電子状態の間の量子相転移が起きます。 この磁気的な量子臨界点の近傍で数々の非従来型超伝導や非フェルミ液体といった新しい量子相が見つかってきました。

図1: 近藤効果とRKKY相互作用。伝導電子とf電子の間の相互作用(c-f混成)の大きさJによって各々を特徴づける温度が与えられる。

図2: ドニアックの相図。近藤効果とRKKY相互作用が拮抗するところで量子臨界点が生じる。

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価数揺動系とは?

例えばYbのイオンはYb3+かYb2+の価数状態をとりますが、ここで価数が時間的に揺らぐことによって整数値から離れた中途半端な値をとる場合を、混合価数状態、価数揺動状態と呼びます。 私たちが研究しているβ-YbAlB4のYb価数は2.75価であり、価数揺動状態にあります。 価数揺動系は近藤温度が高く、f電子のモーメントが高温で伝導電子にスクリーンされるため、 磁気秩序や磁気的不安定性は期待されず、それ故に量子臨界現象とは縁遠いと考えられてきました。 しかし、最近発見された新物質β-YbAlB4は、Yb系初の重い電子超伝導体(Tc = 80 mK)であると同時に、 価数揺動状態(Yb+2.75)において量子臨界性を示す特異な物質で、磁気的な量子臨界点の枠組みを超えた、新たな量子臨界現象が生じていると考えられます。


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