■ スピン系の新しいトポロジカル量子相:量子スピン液体

自然界では、安定で最もエネルギーの低い状態を保とうとします。 我々のなじみの深い“水”は、高温では熱揺らぎによって分子が自由に動き回る為に“気体(水蒸気)”となっていますが、 温度が下がり、熱揺らぎが小さくなることで“液体(水)”へ、更に低温では“固体(氷)”へと相転移を起こします。 磁石として知られている磁性体では、電子の持つスピンがその磁性を担っています。 そのスピンも、高温ではその向きが自由に揺らいでいる“常磁性状態(スピンの気体)”となっていますが、 温度が下がると向きが揃った“(反)強磁性体状態(スピンの固体)”となることが知られています。

固体の中の量子相は、伝統的にはこのような磁気秩序や、あるいは、超伝導秩序など、何らかの「秩序」の存在によって特徴付けられてきました。 しかし、近年、そのような通常の秩序概念では記述できない「トポロジカル相」と総称される量子相が発見され、世界的に急ピッチに研究が進められています。

実際、近年の量子磁性体の研究において、絶対零度においてもスピンが秩序せず、量子力学的に揺らいだ状態を示す物質が実験的に見いだされており、 このような対称性の破れを伴わない「スピン液体状態」の解明に、世界中の研究者が取り組んでいます。 実は、このスピンの “液体”状態こそがトポロジカル量子相の一つであり、この「スピン液体状態」をはじめとする新たなスピン状態を見つけるために、 幾何学的フラストレート格子と呼ばれる正三角形やカゴメのような特殊な格子上に、スピンを有する元素:磁性元素を配置した磁性体の研究が世界中で盛んに行われています。 我々の研究室でも、そのような特殊な磁性体を多数開発し、通常なら熱揺らぎの効果が弱い絶対零度近傍で“固体”状態となってしまうはずのスピンが、 量子揺らぎの効果によって“液体”状態のまま実現する「量子スピン液体状態」や、エキゾティックな「トポロジカル相転移」を伴った新奇な二次元磁気秩序の存在を示唆する振る舞いの観測に多数成功してきました。 以下では、我々が世界で初めて観測した、様々な種類の量子スピン状態を紹介していきます。

A) 量子スピンアイスとモノポール
B) 量子スピン・軌道液体
C) 三角格子上の新しいスピン現象と相転移
D) カイラルスピン液体状態


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